低身長症の目安
低身長は、同性、同年齢のお子さんの統計的な標準値と比較して判断します。標準偏差(SD)を基準にマイナス2SD以下(100人のお子さんに対して2人くらい)をいいます。下記の表より身長が低い方は、ご相談にお越し下さい。
低身長の目安(マイナス2SD)
(平成12年度厚生労働省、文部科学省調査報告)
年齢 | 女の子 | 男の子 | 年齢 | 女の子 | 男の子 |
3歳 | 84.3cm | 86.0cm | 9歳 | 118.7cm | 119.7cm |
3歳半 | 87.9cm | 89.2cm | 9歳半 | 121.1cm | 122.2cm |
4歳 | 91.0cm | 92.2cm | 10歳 | 123.9cm | 124.6cm |
4歳半 | 94.5cm | 95.2cm | 10歳半 | 126.7cm | 126.9cm |
5歳 | 97.8cm | 97.8cm | 11歳 | 130.3cm | 129.0cm |
5歳半 | 100.5cm | 100.6cm | 11歳半 | 133.7cm | 131.1cm |
6歳 | 103.5cm | 103.7cm | 12歳 | 137.0cm | 133.9cm |
6歳半 | 106.7cm | 106.7cm | 12歳半 | 140.3cm | 136.7cm |
7歳 | 108.8cm | 109.4cm | 13歳 | 142.2cm | 140.7cm |
7歳半 | 111.5cm | 112.3cm | 13歳半 | 144.3cm | 144.6cm |
8歳 | 113.8cm | 114.7cm | 14歳 | 145.2cm | 148.6cm |
8歳半 | 116.3cm | 117.1cm | 14歳半 | 146.2cm | 152.5cm |
低身長症の原因
低身長の原因には
・ 特発性(原因不明)
・ 胎内発育不全
・ 成長ホルモン分泌不全
・ 甲状腺機能低下症
・ 染色体異常・遺伝性疾患
・ 慢性腎不全
などがあります。
低身長症の95%は原因がはっきりしなく、特発性低身長症と呼ばれます。残り5%が病気でおこります。甲状腺機能低下症は多くは新生児スクリーニングで発見され、早期に甲状腺ホルモンの補充を行えば、その後の発育は順調です。
成長ホルモン分泌不全症は成長ホルモンが少なくなって低身長となる病気で、不足した成長ホルモンを注射で補うとその後の成長は改善します。この病気は10万人あたり50人ぐらいと考えられています。その他、染色体異常であるターナー症候群や遺伝性疾患であるプラダー・ウィリー症候群、軟骨無形成症、軟骨低形成症、そして慢性腎不全性低身長症、SGA性低身長症でも成長ホルモン治療が認められています。
診断
1. 両親の身長、出生時の状況、栄養状態や今までの病気など聞いて、成長曲線を作成します。
2. 現在の身長体重を測定してマイナス2SD以下(1000人中前から20番目くらい)であるのか評価します。
3. スクリーニング検査をします。
- 一般血液検査
- 甲状腺ホルモン検査
- 成長ホルモンとIGF-1(別名ソマトメジン、成長ホルモンにより作られる成長因子)検査
- 左手のレントゲン写真による骨年齢検査
(成長ホルモン欠乏があると骨の年齢が遅れます) - 女性の場合は染色体検査(ターナー症候群が疑われる場合)
- 一般血液検査、甲状腺ホルモン検査に異常がなく、IGF-1が低く骨年齢が遅れている場合成長ホルモン分泌不全を疑い、精密検査を実施します。
- 成長ホルモンがでるようなお薬を使って、成長ホルモン分泌刺激試験を行います。
- 2つの検査で成長ホルモンの分泌が不十分なときに、成長ホルモン分泌不全症と診断されます。
成長ホルモン療法
不足している成長ホルモンを注射で補い、身長の伸びをうながす治療法です。骨が固まってからでは効果は期待できません。できるだけ早く開始したほうが大きな治療効果が期待できます。成長ホルモンは注射で補います。病院ではなく自宅で行います(在宅自己注射といいます)。治療を続けていても、日常生活に特別な制限はありません。投与量は病気ごとに決められています。1週間の投与量を計算して、1回の注射量と1週間に何日(6か7日が多いです)注射するかを決めます。
治療費について
基準を満たせば小児慢性特定疾患といって、公費負担が認められています。
(マイナス2.5SD以下(1000人中前から6番目くらい)で、成長ホルモン分泌不全の基準を満たすことが必要です。)
- 必要な書類は保健所でもらえます。主治医が記入した意見書、課税証明書、住民票などの書類を提出します。
- 審査でパスすれば、医療券というものが送られてきます。それを、医療機関に提出すれば手続き完了です。
- 年に1回、治療継続のための申請手続きが必要です。
SGA性低身長症について
SGA――多くの方にとって聞きなれない単語だと思います。
英語の「Small‐for‐Gestational Age」の略で、お母さんのお腹の中にいる期間(在胎週数)に相当する標準身長・体重に比べて、小さく生まれることをいいます。身長と体重が100人中小さいほうから10番目以内に入ると、SGA。そのうち約90%は、2-3歳までに成長が追いつきますが、追いつかない場合は、SGA性低身長症が疑われます。
詳しくは、こちら